製作状況(漫画製作:絵柄のアップデート作業ほか)
こんにちはモソです。
昨年のコミティア初参加の記事以来全く更新せずですが、その分、漫画の執筆活動に集中させていただきました。
その間の進捗状況や経験談のコラムをお送りいたします。
「ラッキーキャッツ」から
しまこみで連載&バーコード付き同人誌として沖縄県内の書店、釣具店を中心に流通させていただきました「ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール」。
ノリと勢いで執筆した作品ですが、3巻まで出してみて「今描いたらもうちょっとまともな作品が描けるのではないか」などと考えるようになりました。
また、そのタイミングで地元の漫画家さんからお声がけをいただき、コラボで作品を執筆→漫画賞に出してみる流れがあったものの、色々あって空中分解……
それならば「自分で描いてしまえ」ということで、ラッキーキャッツのリメイク作「仲西ヘーイと ひよっこ釣りガール」を自ら描くこととなりました。
(そういえば、大人になって漫画を描こうと思ったのも、漫画家志望の友人が描かないからだったなぁ・・・)
「仲西ヘーイと ひよっこ釣りガール」はラッキーキャッツで特に人気が高かったキャラクター、妖怪仲西ヘーイこと仲西杏奈と女子高生メンバーを中心に再構成した釣り漫画で、ラッキーキャッツと同じく、釣りの楽しさや沖縄の釣りの魅力、技術を伝えるとともに「釣り人による釣りの課題解決」をテーマとしています。
ラッキーキャッツと大きく違うところは、ルアー釣りだけに限定していないことと、実在する場所を登場させている点にあります。
場所バレ(場荒れ)を防ぐために架空の街を描いたラッキーキャッツでしたが背景の作画が煩わしかったこと。また、漫画として成功したさいにいわゆる「聖地巡礼」が行えるようにという意図があります。
背景は基本的にトレースではありますが、その分緻密に描けるので、場所を知っている人や旅行に来たことのある方も楽しめるのではないかと…。
もちろん釣り人の安全やマナーなどの課題解決をテーマとして描いているので、読者がその場所を訪れても、ポイ捨てなどしないはず…という前提です。
仲西ヘーイと ひよっこ釣りガールは(7話×24ページ)+(1話×32ページ)が2冊の同人誌版として出来上がっているため、漫画単行本の1冊分相当のストックがあります。
2度目のコミティアへ
去る11月に2度目のコミティアへ遠征し、少ないではありますが出張編集部へトライ。
前回2か所あたって1か所はなかなか辛辣というか、「こいつ〇ズだな……」と思った外れガチャを引いてしまったわけで(しかも地元漫画家さんと組んで、初めて漫画賞に応募したのがこの出版社だったという運の無さ)、今回も戦々恐々としていました。
今回は編集者さんがスマホをいじって暇そうにしていたブース(失礼・・・とはいえ有名な出版社&漫画誌ブースでした)に見てもらいましたが、結果から言うと「作品的にうちではないけど」という前提ではあるものの、驚くほどのベタ褒めに。
具体的には、情報量が多いのに読みやすく、情景がわかりやすい(背景がしっかりしている影響か)とのこと。知らない知識も得られて良いとのことでした。
また、ターゲットを絞った戦略もこのままで良い、とのことでした。
もう1か所の編集部は、SNSの友人のご紹介でとある編集さんに見てもらう事に。この編集さんからはさらに具体的な話があり
- ・どこかで漫画の勉強をしたか?普通はこれは描けない
- ・プロとしての経験はあるか?(遊漁船業やってたからある意味釣りはプロだと思いますと回答し「それじゃなくてw」とツッコミを入れられる)
- ・ライトノベルのコミカライズ作のネーム作成作業はすぐにでも仕事を頼みたい(単価も提示される)
- ・絵が古いのでアップデートしてほしい(できるだけ広い読者に浸透させるために必要)。作品の中ではぶなっしーが一番それに近い。
つまり弱点は、前々から指摘があ、自分には無理だからと放置てきた「絵柄の古さ」に集約されているわけで、重い腰をあげて「絵柄のアップデート」に取り組むことを決意するのでした。
だいたいの漫画はキャラデザから入りがちなんですが、私の場合は伝えたい事が入口で、そこが逆転しちゃったんですね。
何をもって「新しい」とするか
「自分には無理だし」「どうせすぐ古くなるんだから」とずっと避けてきた絵柄のアップデート作業ですが、最初の壁としてぶちあたるのは「新しい絵柄とは何か」問題でした。
情報過多の現代では、「新しい」かつ「好きな絵柄」を調べるだけでも大変です。また、新しい絵柄=好きな絵柄とも違うわけで、自分が描けるのか、描いて楽しいか(モチベーションを維持できるか)なども考えなくてはなりません。
なお、最新の絵柄を追っかけてもどうせ古くなるものですが、「つかみ」を作るためにもやはり必要なものであると思います。
というわけで、まずは近所のネカフェでリサーチ。
背表紙から好きな絵柄を探す→表紙→奥付(最後のページ)で発行年を調べる→2020年より新しい漫画の1巻を読む、という一夜漬け的リサーチ……。
この調査でわかったのは、私自身の「好きな絵柄」と「新しい」最適解が2015年頃であること。
漫画を売り出すには最新の絵柄を知ったほうがいいので、今回は2015~2022年に1巻の初版が発行された漫画を片っ端から(1巻だけ)読み、最後にキャラクターのスケッチや感想をメモっていきました。
こうしてわかった事は
- アイラインは太く。そして図形として描かれている
- 鼻は点などで表現されていることが多く、下まぶたの高さかそれよりちょっと低いくらいに位置
- 瞳の描き方に規則性はないがハイライトが小さめ。真円もあれば縦長もある。
- それ以外は作者によってバラバラ。
ということでした。
得た法則を元にアップデート作業に入ると、あら不思議。〇須院長もびっくり?!
これをイラストレーター志願の私の子供(受験生)に見せると「まだハイライトが大きい」「頬を膨らませすぎないで」というアドバイスをもらい、ひとまずキャラクターのアップデートの方向性が見えてきました(上のイラストは子どものアドバイスを入れる前のものです)。
この時点で誰よりも具体的な助言をしてくれた私の子供が、これからの時代を作っていくでしょう。イラストレーターとして活躍する日を心待ちにしています。
クリエイターからのアドバイス:人気作に見る傾向
2月にふたたびコミティアに参加予定で、また、3月は大型の漫画賞もあるということで調子に乗ってまた漫画賞に出してみようと考えながら、出張編集部&漫画賞に使う原稿の作画アップデートを勧めます。
この間、キャラの制服デザインも変えてみようと思いアンケートを取ったりして(ツイッターではほぼ同数。フェイスブックでは新しいほうが良いとの結果)、ついでに制服デザインも変えました。
白のセーラーのほうが海と関係しそうかな、とか思ったりしたわけです。
これにて絵柄のアップデート方針の検討は終了・・・と言いたいところでしたが、一人だけアドバイスを受けたい男がいました。その名はジャハナン族長。
彼はサバゲーで知り合い、私が企画したサバイバルゲームの番組にもレギュラーとして活躍。AK系の銃の話ばかりするので「AK族族長だよね」という話がそのままハンドルネームになった男ですが、彼は最強レベルのクリエイターだと私は思っています。
ちなみに私が思うクリエイターとは、クリエイティブ…何もない所から新しい物を生み出す人のことであって、いわゆる業界人のことではありません。
まるで本物のようなエアソフトガン(主にAK)の塗装技術の開拓、イベント企画、そしてデザイナーとしての技術や経験があり、イラストに関しても理論的な話ができる族長は、私が知る限り最強レベルのクリエイターだと思うのです。
AKの塗装で忙しそうな族長を捕まえて(忙しいところ申し訳ない)意見を伺ったところ、彼は人気作品の原稿を提示し、実際の人体に近い形からディフォルメした画風(輪郭に頂点を作らない…あごやほおなど、目の大きさ)や髪の描き方など、人気作の傾向を教えてくれました。
「漫画絵は記号」が常識でなくなっているという傾向がみられるのが今の漫画、という事も気づかせてくれました。
私の作画はいわゆる萌え絵系であり「漫画デッサン」という〇と十字で描く、まさに記号的な描き方なのですが、絵柄に好き嫌いが出やすい画風です。
一報、族長のアドバイスにある作画は広い客層に受け入れやすいのです。反面、ガチのデッサンや人体構造を習得しないと難しい手法です。
これはすぐに習得できない事なので、できそうな部分から着手することに(そのうち今できない事も習得しようと企んではいますけどね)。
自前のリサーチ、未来のイラストレーターのアドバイス、族長のアドバイスに共通する事は「輪郭の傾向」「目」「髪」の描き方なので、そこに注意してアップデート作業に挑みました。
あと、族長からは背景とキャラクターの関係についても色々教えてもらいましたが、これは出張編集部では(編集者によって)むしろ好評だったので、とりあえずそのまま行って様子を見ようと思います。
なお、族長率いるジャハナン会が2/4にイベントを開催しますので、そちらもよろしくお願いします!
弱点を潰す工夫
キャラクターの作画が古いという問題の解決以外にも、改修すべき箇所が多々ありました。
たとえば「何となくきまらない構図」「フカン(上から見下ろす構図)・アオリ(下から見上げる構図)の崩れ」「編集者がページを戻って読み返していた部分(わかりにくい)」などの修正や調整を行いました。
読み返していた部分はページ数を変えるわけにはいかないので、イラストを差し換えたりセリフの言い回しを工夫しながら、読みやすさや物語の理解のしやすさを追求。
読みやは必ずしも漫画の魅力ではないはずなのですが、コンテンツが過多となり倍速でドラマや映画を見る時代、読みやすい方が今の時代にマッチしているのではないかと思います。
読みやすさにはいわゆる漫画の「視線誘導」というやつも関係していて、フキダシの大きさや位置関係、影の付け方でも変わります。何となく目が迷う部分は切ったり張ったり描き替えたりしながら、最適解を探します。
私にとって最も難しいものの一つがアオリ構図です。
アオリやフカンなしの構図ばかりだと単調かつ技術がない(自信がない、めんどうくさがっている)と見られがちなので、難しかろうが果敢に挑戦するようにしています(イラストレーター志望の子供にも、時々はアオリやフカンに挑戦するようにアドバイスしています)。
今回、1万円近くする精密デッサン人形をポチり、これも活用してます。かなりキモいフィギュアではありますが、パースをとるのにかなり重宝しています。
もちろん完全に人体を再現できるわけではないので単にトレースできるわけでもなく、適宜修正する技術は必要なのですが・・・
こんな感じで漫画のアップデートに取り組むことで、漫画の最前線を目指します。
なぜモチベーションを保てるのか
最後に、漫画を執筆するモチベーションが保てないという漫画家志望の方の悩みを多く耳にします。
私はまだ最前線(商業)には立てていませんが、40過ぎのオッサンがモチベーションを維持できているのは「必要だから」「楽しいから」という事に他なりません。
私は漫画家になる事がゴールではなく、漫画を使って釣りやその他の課題解決をすることにあります。
商業漫画家(連載)を目指すのもそのチェックポイントの一つなので、多少の苦難があってもモチベーションが維持できているのです(商業がダメでも、またラッキーキャッツのように流通させればよいわけですから、現在の活動は無駄にはなりません)。
色々当たる中で凹んだりムカつく事もありますが、それもまたプラスアルファのエネルギーに活用します。
何より漫画を描いている時間、アップデート作業の中で絵柄の進歩が目に見えて楽しい。それがモチベーション維持につながっているのです。
そんなわけで漫画描きも9年目に突入しました。ちょうど8年前の1月にアップしたイラストと今年描いた同じキャラクター(まぁやさん)のイラストが出てきました。
小学生生が高校になるくらいの時間がかかってはいますが、工夫しながら続けていれば進化するものです。
そんなわけで近況報告を兼ねたコラムをお送りしました。
記事はお役にたてましたか?
記事にご興味をもっていただけましたら、
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓以下のソーシャルボタンで共有していただくと嬉しいです^^